仲村比呂のブログ

Written by Nakamura Hiro

にわかファンでいいですか?

 ラグビーのワールドカップが開催されていて、大変な盛り上がっているとのことです。こんな他人事のように言うのは、ほとんど興味も無く、試合を見ないからです。直に見るだけでもなく、それを報じるテレビも、新聞も見ないからです。

 しかし、ずっとではありません。どちらかと言えば自分はミーハーで、サッカーのJリーグが始まったときは、それこそテレビで全試合を見ていました。やがて贔屓のチームができ、苦労してチケットを手に入れて見に行ったこともあります

 そのときのサッカー日本代表というのは、ワールドカップ出場など夢の夢で、何とか最終予選に出るのが目標とするぐらいのレベルでした。

 しかし、その当時の日本代表のメンバーは、サポートメンバーを含めて全員の名を言えましたし、出身クラブや出身高校まで知っていました。

 代表戦の勝ち負けに一喜一憂し、友達と飲みに行き、次の試合ではこの布陣でと、勝手にメンバーを組んだりして、激しく議論などして盛り上がったりもしました。

 しかし、時が移り、今のサッカー日本代表は、ワールドカップ出場はおろか、本戦トーナメントまで勝ち抜くのは最低の目標であり、ベスト8、いやベスト4を目指すといえるところまで来ました。まさに、びっくりするぐらいのレベルの進化です。

 しかしひるがえって、今の私は日本代表のメンバーを一人も挙げられません。ひいきのクラブの試合は見る代わりに、代表選の試合はほとんど見ません。ただ興味がなくなっただけです。ではなぜなくなってしまったのか。

 それについてよく考えてみるとサッカー自体に飽きたわけではありません。今でも、日本代表には頑張って欲しいとは思っています。結果は結果として気にはなります。

 しかし、そこには昔ほどの熱意はありません。ただ、単純に試合まで見たいとは思わないのです。

 恐らく、簡単に言って強くなりすぎてしまったからだと思います。今まで雲の上だったワールドカップ出場が当たり前になり、ベスト4を狙えるところまでいってしまうと、もう上は限られます。そして下に落ちることは許されません。

 少し暴力的な言い方をすれば、スマホゲームでも、ロールプレイングゲームでも、途中までは楽しいです。強くなっていく過程にワクワクする。強大な敵を見てさらに強くなろうと思います。

 しかし、ある程度強くなり、限界が見え始め、そこからは根気と惰性となった時点で、以前のやる気は急激に失せていきます。

 つまり人というのは、サッカーに限らず、強くなる過程を見たり聞いたり、感じたりするのが大好きな生き物だということだと思います。

 まさに成り上がっていく過程を見ていたいということです。それがうまく時代に乗って、ハマれば大ブームを起こすことになり、その後、社会的に認知されて、人々の中に定着していく。

 そしてやってきたブームが去っていき、離れていく者たちのことを、「にわかファン」と言います。

 つまりJリーグのブームの時に盛り上がっていた自分はただのにわかファンだったということです。

 そしていくらミーハーでも、こういう経験を重ね(自分の中では、F1や大リーグもありました)ながら、ある程度歳を取ると何かについて「にわかファンに」になるのが億劫になります、にわかの本質にも気づく。好きなような気がする。それだけだということに。

 しかし、にわかファンの中には、にわから本物のファンになっていく人たちがいるのも事実です。最初はブームだからとしても、そのスポーツの真髄や面白さに目覚め、心から好きになる。そういうい人たちがブームが終わっても、競技を支えていく素晴らしいサポーターになっていくのでしょう。

 そこで昨今のラグビーブームですが、だからぜひこの際、絶好の機会を生かして、にわかファンを本当のファンに変えていって欲しいと思います。

 ただラグビーは面白い、とにかく試合を見ればその面白さがわかる。誰それがすごい。誰がイケメンというわけではなくて、ラグビーの面白さをわわりやすく伝えて欲しいのです。

 そこにはただ解説者の熱い思いをだらだら訴えるだけではなくて、きめ細やかな手腕が必要となります。タレントがテレビの中で騒いでも何の足しにもなりません。

 そして、何よりもそれを支える物語も必要です。Jリーグの盛り上がりに「キャプテン翼」が必要だったように。主人公の翼君が、最初の回のに、「僕はいつかワールドカップの得点王になる」といい放ちます。海賊王になるもそうですが、こういった副次的な要素も大切だと思います。

 そこから漫画の世界だけではなく、現実のラグビー界がかつてのJリーグのようになるように、ぜひ試合以外にも面白い物語をたくさん見せて欲しいと思います。

 高校の体育の授業でラグビーをやって、大好きになるどころか苦手になってしまった仲村でした。
 ではまた

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