仲村比呂のブログ

Written by Nakamura Hiro

ノマドな生活はダイエット?

 前回、ノマドに触れましたが、正直言って私も一時期ノマドに憧れていた時期がありました。旅から旅へ、その移動すること自体に価値を見い出す生き方。モンゴルの騎馬民族のように。

 ノマドの人は言います。移動することにより、新しい発見をもたらします。人類の歴史は移動の歴史だと。

 確かに、移動がなければ今頃、人類はアフリカで未だ狩猟をおこなっていたかもしれません。より住みやすい荒波を乗り越え、人界未踏の地を踏破して、新たなる楽園を見いだす行動は、ある意味人間の自然な行為なのかも知れません。

 それと同時に、断捨離を行い、最低限の物に囲まれて、ミニマムな生活をし、場合によってはもの自体もほとんど所有せずに、移動し続けます。

 高城剛氏や四角大輔氏はそれを体現する生き方を提示していました。新しいライフスタイル。これは二十世紀にかかわらず、今後も脚光を浴びるテーマだと思います。

 自分の生活に不満や不平を感じている人は多いです。仕事に行かなくては、学校に行かなくては、もうこの人と暮らしたくない等々。

 そういったとき、ノマドを体現する人の言動は目映いばかりに、魅力的です。自分もああなれたら。つまるところ「自由」。

 それは、不満を思っている人にはより威力を発揮する言葉です。

 私も執筆以外にお金を稼ぐ仕事を持っている一労働者として、この「自由」という言葉は、常に手に入れたい意味ある言葉でした。

 この「自由」については、これもまた別の機会にじっくりお話したいと思いますが、何にも束縛されない自分らしく生きられる状態を仮に自由としますと、それはしたくもない仕事をしている人とは真逆の生活となります。

 旅から旅へ。世界を渡り歩き、様々な国を訪れ、多くの人と交友し、友人を作る。様々な価値観を体感し、世界の成り立ちを知る。

 素晴らしいです。こういう生活を送れたらさぞ実り多く、楽しいでしょう。

 そして、究極のノマドを提示する人達は、それは決して無謀なことでも無理なことでもありません。ほんの勇気を出して一歩を踏み出せば誰もが可能なことだと。

 私も単純にそう思いました。彼らほど徹底したものではないにしろ、それに近い暮らし方はできると。

 影響されやすい私は、すぐさま物を整理し、本は電書化しました。服は最低限に止めて捨ててしまい。スマホとパソコンだけで仕事もプライベートも済むようにしました。出かけるときはiPhone一つです。

 車もカーシェアリングを考えたことがあります(今も考えています)。何とかアメリカの永住権を得られないか研究したこともあります。

 とにかく物というのは人を縛ります。物を捨てて確かにそう思いました。身軽になると気持ちも楽になりました。このまま、それこそあちこちでホテル暮らしをしながら、執筆活動をしていきていけたらと思ったぐらいです。

 しかし、ある時ノマドって過激なダイエットと同じなのではないかと、ふいに変なことを思ったのです。このまま突き進みますと、どこかいつか致命的に何か損なわれてしまうと。

 ダイエットは確かに痩せるという意味でいいことです。身体が軽くなり、食費が浮き、目に見えて姿が変わっていきます。そして、どんどん食べなくなり、ただ体重が痩せていくのが楽しみになっていきます。

 しかし、人によっては過度のダイエットに走るあまり、食べること自体が怖くなり、人によっては拒食症になったり、貧血になったりします。

 つまり、ノマドを極めていくと確かに、身軽で自由が手に入ります。四角大輔氏や高城剛氏、それに本田健氏になれるかもしれません。新しいライフスタイルを提案するトップランナーになれるかもしれません。

 しかし、私は拒食症に陥った人のように、あるとき限界に達しました。それなりにノマドチックな生活を目指しながら、オーガニックな食事を取り、身体に悪い油や肉を取るのを辞め、健康に気を遣い、朝走るようになっていました。

 そんなある日、芯から疲れ切って、全然楽しくない自分を見つけたのです。これって激しいダイエットと同じだ。ただ、生きる上での効率、つまり自由のために無駄を省き、ただひたすら利便性を追求しているだけじゃないのか。これは大げさに言えばダイエットどころか、今の日本の状態そのものだ。自由の代わりに、「経済発展」という言葉を入れれば、そのまま使える考え方だと。

 話が大きくなりましたが、この国では過労死が未だ絶えず起こっています。そして、ノマドだけに限らず、ダイエットでも、一つの概念のために自分を合わせて、無理にねじ曲げていくのは、最後は過労死、ノマドの場合は精神的な過労死になりかえないと。

 その疲れの理由は、まさにこれでした。

 もちろん、ノマド的な生活が性格的に合っている人もいるでしょう。新しいライフスタイルに救われた人もいると思います。

 しかし、体感的に言ってそう言う人は、ごく限定された人達だと思います。ほんとうはぽっちゃりした状態が、精神的にも肉体的にも会っている人に、もっと得をするからと言って、ただお金目的で、ダイエットを勧めるような人は、前回書いた「世間師」だと思います。

 急に話が飛びますが、邦画の「日々是好日」のお茶の先生のような、一カ所に定住して、日常の中に少しずつ自由を確保していくような生き方の方が、実は多くの人々には合っている古くて新しいライフタイルではないかと思っています。

 最近お腹がぽっこり出てきて、ダイエットという言葉に敏感な仲村でした。
 ではまた 

私の名前は高城 剛。住所不定、職業不明。

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