仲村比呂のブログ

Written by Nakamura Hiro

縦書きか横書きか?

 最近、ブログを始めTwitterでも、横書きがほとんどです。ネット環境の中では、テキストはほとんど横書きと言ってもいいでしょう。そして最近私も始めたnoteも、小説を始めとして全て横書きになっています。

 今の学生は、スマホやパソコンで情報を摂取するので、縦書きである新聞や、国語の教科書が読みづらいと言っていると聞いたことがあります。そうなるともっと文字が小さい文庫本など、さらに違和感を持つことでしょう。

 先ほど言ったnoteでの連載も、当初横書きに違和感を抱きました。それどころかとても書きづらさを感じました。これはもはや小説ですらないと。

 しかし、いざ書き終えてネット上で見るとあまり違和感がありませんでした。それどころか、かえって読みやすい。それはブログやネット記事に目が慣れているせいでしょう。

 それと同時に、なぜかいつも感じる自分の文章に粗を感じませんでした。

 これまで縦書きの時、もちろん文章そのものはもちろんですが、全体のレイアウトがとても気になりました。ここで改行すべきか。句読点の位置はここでいいのか。章の区切りは等々。

 とにかく見た目について自然に重視していました。京極夏彦氏は、小説を書くとき、インデザインというソフトを使って、段組の見た目にもこだわられているといいます。

 それが、横書きにすると不思議なことにそういった細かい点がほとんど気にならなくなったのです。そして校正するのも楽に感じました。

 そしてその理由を考えてみますと、やはり縦書きと横書きでは、同じ文章でも印象がかなり違う、それどころか頭の働きも違うのではないかということです。

 かつて、明治時代、日本語を右から読んでいたのを英語表記にならって左から読むようになりました。その時の混乱の様子を、落語の小咄で聞いたことがありますが、看板の文字を逆から読んでしまい、本当に笑い話のような出来事がいっぱい起こったといいます。

 今でも、ほんのまれですが地方に行ったとき、右から読む看板を見かけることがあります。その時とても違和感を抱きます。そう思うと、小説の横書きも、ただの慣れの問題かもしれません。

 ただ、日本の小説が翻訳されて外国に読まれるとき、外国人から、何となくしっくりこないという話を聞いたことがあります。おそらく逆の問題が生じているのでしょう。う。

  そして、今後この国の人口が減少していき、出版の市場が小さくなれば、日本の小説家は食べて行くには、自分の作品を世界に出していかざる得なくなると思います。 英語版は必須となるはずです。

 もちろん、多くの作家はこの危機感は感じているとは思います。佐渡島氏がやられている、コルクという会社は積極的に海外に乗り出しているエージェントでしょう。

 かつて「少年とアフリカ」という坂本龍一と天童荒太氏の対談集の中で、「なぜ日本人作家は英語で本を出さない」という坂本氏の問いかけに対して、「とても英語で書けない」という天童氏の下りがありました。

 すると、坂本氏は「亡命作家を始め、外国の作家はすでにそうやっている。稚拙は問われていません。英語ではないととにかく読まれない」と返していました。

 私もこの坂本氏の考えを支持しています。今の世界、ココナラを始め、少し検索すれば、少額で英語翻訳の請負をやってくれる会社や個人はたくさんあります。

 もし、稚拙さを問わないなら、小説を全て翻訳の外注をしてもいいと思います。とにかく自分の作品を読んでもらう、それも世界にというのであれば。

 そして、元の縦書きと横書きの問題に戻るのですが、これだけ私ぐらいなマイナーな物書きでも、気になるのですから、やはり横書きに慣れていくべきだと思います。

 村上春樹氏も、当初は英語で小説を書いてそれを日本語に直して書いていた(今も?)といいます。一度横書きで書いて、縦書きに直してみてその都度校正しているらしいです。

 この縦書きか横書きについて、どちらがいいかという答えは特にないですが、村上春樹氏のように、相互に見比べてできるだけ違和感を薄めるというやり方も一つの方法だと思います。

 しかし、思い出すのは、かつて(今でも?)日本でも、縦書き表記をやめてすべて横書きにしようという提案が話題になりました。 その時おじゃんになった主な理由は、それが日本語の文化だから守るべきというものだった気がします。

 別に私は、縦書き文化を否定するわけではありませんが、縦書きの小説がすでにじり貧になっている以上、小説文化そのものが消えてしまったら元も子もありません。

 英語を公用語にというと話とは別に、小説の横書き化について真剣に考えてもいい時期なのではないでしょうか。

 そして、その先鞭として、誰かが書いた横書きの小説がベストセラーになると面白いなと思っている仲村でした。
 ではまた。