仲村比呂のブログ

Written by Nakamura Hiro

散歩に行きませんか?

 以前にも書いたかも知れませんが、私は散歩が好きです。人から趣味は何ですかと聞かれたときは、「散歩」ですと答えることが一番多いです。

 しかし、そう答えると、相手方は「そうですか、散歩ですか・・・」という鈍い反応になることがほとんどです。

 恐らく話のとっかかりとして、散歩というのは「ゴルフ」「テニス」などと違っていかにも弱く、肩透かしにあったような気がするからなのでしょう。中には真剣に答える気がなんだというような少し怒ったような顔をされることもあります。

 しかし、本当に散歩が好きだから仕方がありません。そもそもテレビでも、やれ何とか散歩とか、ぶらぶら何とか、散歩番組がはたくさんあります。

 だから潜在的には散歩を好きな人は多いと思います。犬の散歩と言いますが、人間の散歩ももっとフィーチャーされてもいいはずです。

 私に限って言えば、ほとんど散歩の目的地は決めずに、天気や過去の履歴、その日の気分でおおよその行く方向を決めます。

 昨日は南の方に向かったから今日は西、風が強いから今日は、東というように。そうして何となく歩き始めます。

 たとえ前通った道でも、一週間違えばどこか違っています。桜が咲いた、散った。ツツジのつぼみが膨らんでいる。近所の犬が今日は眠そうだ。新しい店ができた、つぶれたなど。

 それは、テレビのダイナミックなニュースに比べれば、ほんの些細なことかもしれません。ただ季節の変化だけではなく、そういった少しの変化を感じ取ることが私はとても楽しいのです。

 別の場(note)で、俳句などもやっていますので、そういった変化を見つけたら写真を撮るようにしています。そして、思ったことをスマホにメモしたりします。

 少しの変化を見つけること。

 それは散歩に限ったことではないのかもしれません。人に対しても同じです。「男子三日会わざれば刮目すべしという言葉(女子もですが)」がありますが、一日でもそれはあり得ることだと思います。

 人は、たった一日でも劇的なことがあったり、経験で変わってしまうことがあります。だから、私は相手を大事にするためにも、その変化を絶対に見逃さないようにしています。

 しかし、それは心に余裕がないとできないことかもしれません。ただし、人や景色の変化、それに気づくことがないと、ある日いつの間にか開いてしまった隙間が、すでに埋めようのない溝になってしまいかねません。夫婦関係や親子など、近い関係であればあるほどそうでしょう。

 自分はわかっている。毎日見ているのだから。その思考の落とし穴は誰もが陥りがちなものです。そして、ほとんどの人は、ツツジのつぼみの変化に気づかないで通り過ぎ、咲いてから始めて気づくように、何か決定的なことが起こってから気づくのです。 

 小さな変化。これを感じ取れるようになる最初の一歩は、やはり自然の変化に敏感になることでしょう。雨の匂いがする、午後から雨だなあ。そういった感性は、別に詩を作ったり俳句をひねったりするのに必要なものではなく、人として生きるための必要な感性だと思います。

 だからといって無為の散歩を勧めるわけではないですが、ディズニーランドや、大型ショッピングモールなどのような、ある目的のためにある場所でしか楽しめなくなるより、家からほんの数キロの間で楽しめるようになったほうが、人生がより豊かになるし、何よりも経済的だと思います。

 巷のTwitterやブログでは金儲けの話で溢れています(というより、ほとんど)。副業でお小遣いを手にして、人はいったい何をするのでしょう。さらに欲望にとらわれてお金が欲しくなるだけだと思います。

 これからの本当の副業は、お金ではなく「つながり」や、「信用」、前出した「小さな変化を感じ取れる感性」を得ることだと思います。

 そして、すぐその見返りは何があるという、儲けの思考回路ではなく、お金を使わずに、楽しくすごすためと思った方がいいと思います。

 散歩している限り、目に見えるお金を手にすることはまずないでしょう。無駄な時間だと思っている人も多いと思います。

 しかし、一日10分でも近くを歩いてみると、お金ではない見返りが何かありそうだと感じ取れるはずです。

 かつて、スティーブ・ジョブスさんが、相手との大切なビジネスの話をするときは、ミネラルウォーターを手に、散歩しながらしたというのも、八千草薫さんがエッセイの中で、夫婦で散歩すると普段話せないことが話せると書いていたように、きっと散歩というのは、普段は閉ざされた思考回路を開放させる不思議な魔力もあるのかもしれません。

 と、いろいろ散歩を礼賛するようなことを書いてきましたが、ある映画(題名を忘れました)の中で、モーガンフリーマンが、長靴を履いて傘を差しながら、雨の中を思いっきり散歩するのが大好きだというのを聞いて真似をしたことがありましたが、やはり雨の中の散歩は楽しくないと思った仲村でした。
 ではまた

まあまあふうふう。

まあまあふうふう。

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